第七師団

上川離宮と並び旭川のもう一つの原点と呼べるのが陸軍第七師団です。
あるいは旭川の育ての親と呼んだ方が正しいのかもしれません。
離宮建設が徐々に幻となりつつある時期、師団の設置が旭川を飛躍的に発展させたからです。
しかしその実、この第七師団こそが真の旭川の原点であるとも言えるのです。

明治維新後の日本がまず直接的に脅威だったのが当時の帝政ロシアです。
樺太千島交換条約で北の国境は画定されていたものの、
ロシアはその後も強大な軍事力を背景に清国や朝鮮半島に触手を延ばし、
黙っていれば大半が未開の地であった北海道への南下も明らかでした。

ロシアが北海道に上陸侵攻するとすれば大きく２つのルートが考えられました。
海軍力を背景にした樺太ルートと千島ルートです。
北海道内から見れば地理的に正反対ともいえるこの両方のルートいずれにも対処するには、
両側から均等の距離、
つまり北海道のど真ん中に軍事処点を置くのが良いわけで、
沿岸部からできるだけ距離を置く必要性からも上川は理想的な地形と位置にありました。

もちろん明治政府は北海道の開発という事も同時に考えたでしょうが、
それ以上にまずこのロシアからの国土防衛という事が第一にあったはずです。
だからこそ開拓に当たっては屯田兵という一石二鳥の手法を採ったのです。

そしてこの屯田兵こそが最強の部隊をつくり上げるための布石に他ならなかったのです。